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    <title>ムニャラモネくらいの大きさの</title>
    <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com</link>
    <description>ムニャラモネくらいの大きさの・小説更新情報</description>
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      <title>11 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42477</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 16:14:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[ふたりが地上の蛇花町へ帰還すると鳥乙女の偽最終イベントは終了した後で、空には花火が上がっていた。

「くらいまっくすってかんじ？」
「本当の最終イベントが始まったのかな」

小鳥が晒し者にされていたときは夕暮れだった空には今は月が浮かんでおり、宴もたけなわといった頃合いだった。

「お空に月がある……おちてないのね」
「光の卵を探しに行こう」

今の彼らの懸念は地下帝国の逆襲がどうなったのか、果たして星降り祭りの名の通り月は落ちるのか、その二点だった。
勢いに任せてよじ登った電柱を青年はこわごわ、人魚はひょいと軽々と降り立つと、丁度そこにとりがらぽてぽて鳥乙女がやってきた。

「わたしはカワイイ鳥乙女！ライデンちゃんとツキちゃんが地下帝国をボコボコにしてくれたんだね！」
「してないよ」
「もう……チキンちゃんってばケンカはだめよ。地下帝国のひとたちは月の卵を交換してくれたのよ」
「交換？」...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>10 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42476</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 16:10:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[最終イベントを目前にした群衆の狂乱から単身抜け出した礼典は騒ぎの中では誰も見ていないからと着物の裾を捲り上げて帯に突っ込み、急ぎ住宅街へ向けて疾走していた。

「らいでん！チキンちゃんが！」
「わかってる。アイツの家ってどこだ？」
「こっち！」

人魚のわりに足の速い月子は軽々青年を追い抜き、礼典を先導するようにぐんぐん先を走る。彼女もまたセイレーン仲間が置かれた状況を聞きつけ、地下帝国へ向かうべく腹を括って参じたようだ。

「卵は？」
「もってる！」

駅前と住宅街を区切る高架下を駆け抜け、二丁目の郵便ポストのすぐそばの極太電柱の前に差し掛かった時だ。
月子は突然足を止めて電柱に背中を預けた。速度を緩めた礼典を視線で制しつつ人魚は腰を落として太腿の上で掌を返す。そしてふっと視線を上に向けた。

礼典にはそれだけで十分だった。

躊躇うことなく月子の掌に体重を預けると、細身の女性の力とは思...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>9 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42475</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 16:05:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[子どもたちの調べ学習によると、タイムカプセル盗難イベントは全く根拠がないところから発案されたものではなく、どうやら昔々に小学生が埋めたタイムカプセルが盗まれた事件が下敷きにあるらしい。

それはさておき時間は進んで日は傾き、ぼちぼち祭りも最終イベントが見える頃になってきた。
射的の屋台で見事撃ち落した折りたたみ自転車を片手に担ぎ、もう片手には金平糖とどんぐり飴のビニール巾着をぶら下げて、礼典青年がアミュレット屋の屋台に帰還した頃には夕刻だというのに一向に下がる気配のない気温のために地面が揺らいでいる有様だった。

「やあ。その様子だとずいぶん楽しんできたみたいじゃん？」
「自転車いるか？」
「オレ様なら自力で走った方が早いね。ライデンが使いなよ。うちに駐輪場は無いけど門に寄せて停めておけば切符は切られないから」
「そうする」

終わるまでここ置かせてくれ、とイツクが座る簡易イスの裏に自転車...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>8 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42474</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 16:03:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[ベビーカステラとチョコホットドッグを手に礼典が慈の屋台に戻った時、お守りが並ぶ台の下に挟まれた二つ折りの紙切れが目に留まった。

「なんか……落ちてるぞ」

慈の荷物を蹴飛ばさないように視線を落としたときに発見したそれは、どこからか飛んで来たレシートのようにも見えるが青年が知る限りきちんと領収書を発行する屋台は無かったはずだ。

「楔だよ」

拾い上げようと身を屈めたときに慈がぽつりと口を開いた。

「くさび？」

日常で聞き慣れない言葉に礼典が顔を上げると、友人は訝し気にチョコレートコーティングされたホットドッグを矯めつ眇めつしているところで『楔』なる紙片に対してさして疑問も持っていない様子だ。

「そういう文化なんだって」
「どういう文化だよ」
「神棚の上に『天』って書いた紙を貼るだろ。あれみたいなもんじゃないかな？」

観察さえ終われば嫌がらせのような朝食に対してですら抵抗感を示さず...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>7 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42473</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 16:01:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[そしてついに祭り当日。
怪物退治屋・慈はテーブルの上に置かれたお手製アミュレットをちらりと一瞥するなり「うん。使い切ったね」とだけ言って新しいものと取り換えて、自分の屋台へと出かけていった。
ひとり残された礼典はさてどうしようかと思案を巡らせるが、ここでビビッて引き籠っているのもつまらない。素直に祭りに繰り出すことにした。

住宅街から商店街に抜ける高架下に差し掛かったとき、ここ数日大人しくしていたはずの邪悪な白い姿を見つけた。

「わたしはカワイイ鳥乙女！初心者向けのアドバイスが欲しい？」
「出たな……」

つるつるぺなぺなポリエステル製の浴衣に身を包んだ我らが初心者狩りバードは礼典青年の着物の裾をちゅんちゅんつつき、正絹の感触に不服そうに嘴を尖らせている。
どこか退屈そうなその姿に昨日の人魚の姿を重ねてしまい、青年の口からつい軽口が飛び出した。

「月は落ちそうか？」
「わかんない。ツ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>6 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42472</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:58:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[夜間の墓荒らしから数日が経過した。
月降り祭りを前にして礼典は状況を振り返ってみる。
ひとまずラヴで育つ卵は人魚の手に渡り、小鳥がいくらラヴを回収したところで孵るおそれは無くなった。小鳥の主張によると新世代の月が孵らないならば旧時代の月は未だ役目を終えられず空に浮かび続けるしかない。

「これで月は降らない……のか？」
「ムーングロウが必須アイテムなのは昔から変わらない。時代が下るにつれて色々変わってるみたいだけど、それだけは祭りの起源から一貫してるみたいだし、一応祭りが終わるまでは持ち歩いたほうがよさそうだね。ツキちゃんとお祭りを見て回る気ならオレが渡したお守りもちゃんと着けておきなよ」

礼典は返事代わりに、ぐい、と肌着の下に納めたエメラルドのアミュレットを引っ張り出してみせる。そして忘れずにポケットにムーングロウを押し込んだ。

「店の準備は？手伝わなくていいのか？」
「今日は設営で...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>5 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42471</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:53:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[必須アイテムは早めに確保を。次の目標が決まったところで慈は「ところで」と切り出した。

「ムーングロウの場所は知ってるのかい？」
「鳥から貰っただけだから知らない……ムーングロウは必須アイテムで、鳥はいっぱい持ってて、初心者に配ってるって」
「そっか。これからも必要なら鳥に貰わずに自分で拾いに行けばいいよ。謂わぬ色のところにいっぱいあるから」

謂わぬ色。あまり馴染みの無い言い回しだが、それが梔子の色であることは礼典も知っていた。

「梔子なんて生えてたか？水路のところにいっぱい生えてるのは花桃だし……」

花屋に並ぶ花卉ならまだしも、山の木々に咲く花であれば長らくの山暮らし故に多少なりと知っている。しかし礼典の記憶の限りだと蛇花町の植込みはツツジやユキヤナギといった他の町でも植えられている低木であって、梔子は見当たらなかったはずだ。
半ば独り言のようにそんなことを喋っていると、ふと隣の友...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>4 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42470</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:50:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[友人同士の砕けた会話を挟みながらも日が完全に沈む直前にアミュレット屋台の設営は無事終わった。

「ところでライデン、これからどっか行くのかい？」
「……いや。帰るだけ」

礼典は首を横に振る。予定らしい予定と言えばゴキゲンナナメでどこかへ去った月子を探しに行くか、初心者殺しバードに再びムーングロウを分けてもらうか、そのどちらかくらいだ。それに必須アイテムをロストしたいまは夜遊びに出かける気分でもない。

「そっか。それじゃあ久しぶりに一緒にメシでもどうかな」
「オマエの仕事が無い日は一緒に食べてるだろ」
「そうかい？嫌ならいいんだけど、ムーングロウなしで祭りの夜を過ごすのは辛いぜ」
「…………なんでわかった？」

慈は相変わらずにへらと微笑んでいる。

「そりゃわかるよ。きみだけ気配が違うから」
「気配？」
「そう、気配。毎年祭りの時期になると町の人間が消す気配。ライデンには隠す素振りが無...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>3 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42469</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:47:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[蛇花町に川はない。死灰色の海こそあれど、海へ流れ込む水の出所はどこか余所にある。
いま礼典が立ち尽くす望遠公園のような台地とその背後に聳え立ち町民を上から押し付ける黒い山はあるが、そこの沢は涸れていた。
町に流れているのは川ではなく用水路だが、いまとなっては用を成すのは雨の日だけだ。

もう七月にもなり花もついていない花桃並木に沿って乾いた用水路に沿って歩き小鳥の姿を求めて青年はご町内を歩き回ってみたが、どこかでラヴを集めているであろう少女の姿は一向に見つからず、代わりに見つけたものはもう外気温が三十度を超える日があるというのにガスマスクで顔を覆い軍用コートをしっかり着込んだ奇妙な出で立ちの人物だった。コートの下はもこもこと歪に膨らんでおり、何かを隠しているのは明白だ。

「……蜘蛛のオッサン」

傍から見たら相手は不審者か変態か、あるいは変態の不審者か、とにかく関わり合いにならない方が良...]]></content:encoded>
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      <title>2 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42468</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:42:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[山へ続く車道の脇から山道に入った先、本格的な登山道の手前に位置する展望公園は普段は訪れる者も少ない場所だ。
今日も居るとしたらお祭りの必須アイテムと交換にラヴを集めて歩いている鳥乙女か、礼典青年にとってのお月様である人魚の月子のどちらかだ。
もしかしたら愛しの人魚に会えるかも、と淡い期待を胸に礼典が公園を訪れるとまさに彼女が望遠鏡を覗きこんで真昼の月を眺めようと奮闘しているところだった。
夏らしい薄手の衣服からすらりと伸びる手足は人魚らしく日光を受けてなお緑青に光を返し、銀色のような金色のようなきらきら輝く薄色の長い長い髪は彼女が望遠鏡を左右に動かすと同時にぴこぴこ三日月の弧を描いて振れる。

「……ムーングロウだ」

ちょうど小鳥に渡された謎のアイテムと同じ色合いを示す髪のきらめきに青年がぽそりと呟くと、人魚もはたと動きを止めた。
礼典にしてみたら小さく独りごちる程度の認識だったが、案外...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>1 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/42467</link>
      <pubDate>Wed, 23 Sep 2026 15:39:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[蛇花町に夏の祭りの季節がやってきた。
先日の変態地下収容所脱走事件や児童不登校事件が一段落をみてからの蛇花町は一旦の落ち着きを見せており、この祭りが久しぶりの町全域を巻き込んだ騒ぎとなる。
しかし、まだ日程が近くなった程度では町内に浮足立った気配もなく、目立った変化といえば日ごとに煌びやかな飾り付けや祭りの告知ポスターがじわじわと増えているくらいだった。

そんな祭りの準備に追われているようなそうでないような曖昧な町で初めての祭りを迎える礼典青年はいつものように駅前のスーパーマーケットの袋を下げて噴水広場の掲示板の前で足を止めていた。
彼の視線の先にあるのは当然お祭りのポスターなのだが、そこには彼が知る『七月の祭り』とは異なる文字が躍り狂っている。

「月降り、祭りぃ？」

思わず素っ頓狂な声で読み上げてしまってから『月』という単語に思わず頬を赤らめて青年は視線を爪先に落とした。

蛇花町...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>サバイバルゲーム - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/41481</link>
      <pubDate>Sat, 08 Aug 2026 23:44:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ほら、ハイタッーチ」

プラスチックゴーグルを外し軽く頭を振って顔にかかる髪を避けながらにこりと微笑んだ小柄な青年が手を掲げるが、対する背の高い少女はぽやんと眼前に出されたその手を見つめるだけだ。

「……知らない？ハイタッチ。ほら、こうやってイエーイってね」
「いえーい？」
「イエーイ」

改めてパチンとハイタッチ。

「にんげんって同族をころして喜ぶのねえ」

青年に倣いゴーグルを外した少女は不思議そうに呟いた。あたかも自分は人間に非ずとでも言いたげな口振りの通り、一見美しい人間の少女に見える彼女は陸に上がった人魚の月子。今日は蛇花町のおともだちと一緒にサバゲーごっこに興じていた。

「ははは。実戦じゃあるまいし、ごっこ遊びのゲームなんだからいいじゃないか」

お互い申し訳程度にゴーグルこそ身に着けているが、それ以外の青年の装備は襟元がヨレヨレになったTシャツにあちこちにほつれや小さ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>臓腑爆裂パールボム事件 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/40579</link>
      <pubDate>Tue, 19 May 2026 22:15:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[ある日礼典は爆音ボイスで叩き起こされた。

日の出すぐで太陽もまだ低いというのに愛しの人魚の声はズンズン五臓六腑に響き渡り、部屋中の窓ガラスという窓ガラスをびりびり揺らし、駅前の方角からは断続的に爆発音が起こっている。

「……ライデン、行っておいでよ」
「おう」

どのみちこの状況で朝食でも洒落込んだところで響き渡る爆音に胃を揺らされて即座に吐き出すハメになるのだ。
同居人の無言の圧力に押し出され、礼典は寝巻にサンダル姿で愛しの人魚のもとへ急ぐのだった。

そして彼が駅前の噴水広場に到着したとき、そこには既に人だかりが出来上がっていた。

「すみません、通ります」

掻き分け掻き分け最前列へ出ると、噴水の縁に腰掛けてしくしく泣く人魚・月子の姿があった。
しかし、群衆だれひとりとして彼女の身に何があったのか訊ねようともしない。それどころか噴水から距離を取って遠巻きに眺めつつ、じりじりと後退...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>正月 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/40578</link>
      <pubDate>Tue, 19 May 2026 22:12:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[来たる蛇花町の元旦、朝十時過ぎ、未だ周囲は暗く日の出は遠い。

いくら冬の朝が遅いとはいえもうじき正午も迎えようかというこの時間帯にまだ真っ暗なのは珍しい……というより完全に異常事態そのもので、高台の展望公園に集まった面々も流石にこれは暢気に出店のベビーカステラを貪っている場合ではないと気が付きはじめたころだった。

「おひさま見当たらないわねー」

お気に入りの望遠鏡で地平線、水平線を眺めながら陸に上がった人魚・月子がふんわりした口調のままその場の面々に報告している。

「わたしは可愛いポリ公乙女！町の異常事態はわたしにお任せ！ちょっとライデンちゃん全裸になってよ。ハンコ押さないから」
「なんで」

以前に町中で全裸になり犯罪のハンコを貰った経験のある人間の青年・礼典は帽子の下で苦い表情を浮かべている。
それは小さな小さな鳥の乙女・ララルノにとっては丸見えなので、隠したところで無駄だった...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>礼典 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/40043</link>
      <pubDate>Mon, 20 Apr 2026 00:36:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[礼典が蛇花町に移ってからずいぶん経った。
今は友人・慈の家に転がり込む形に収まっているがいずれ出て行く予定だった。しかし仕事もしていない今は貯金も徐々に減っている。
そういうわけで今日の礼典青年は噴水広場のベンチで駅舎から取ってきた求人募集の冊子を広げていた。

「らーいでんっ！なあにしてるの？」
「バイト探しだよ。いつまでもアイツに世話になるのも良くないからな」
「ふうん……ばいとってお花の仲間？」
「仕事仕事。働いて金貯めて、独り暮らしするんだ」

退治屋くんのお手伝いでいいじゃない、と陸に上がった人魚・月子は唇を尖らせる。

「よくないよ。アイツも利益ないし、給料払えって言える状況じゃない」
「ふーん。らいでんはどんなお仕事したいの？」
「どんな仕事にしようかな……」

転居二日目にして墓場にぶち込まれた経験に比べたら彼にとって拘束時間十二時間の週七勤務でも大した負担ではない。
万年...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>怪物退治屋 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/40030</link>
      <pubDate>Sat, 18 Apr 2026 14:55:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「なあ、オマエ最近どこ行ってるんだ？」

礼典は今日も今日とて何処かへと出かけようとしていた友人に問いかけてみる。そして怪物退治屋・慈は「オレ？」と素っ頓狂な声をあげて足を止めた。
慈は僅かに眉を寄せているが、出がけに声をかけられて腹を立てているわけでもなく、ただただ不思議そうな表情を浮かべている。

「前にスイにおつかいを頼まれた時に言ってたぜ、兄ちゃんが全然墓参りに来ないって。なのにオマエ毎日どっか出かけてるだろ。どこ行ってるんだ？」
「お仕事ー」
「うそつけ」

ふにゃんと柔らかい笑みを浮かべて慈は答えるが、礼典に一蹴されて、ふっ、と表情を引き締める。

「嘘じゃないよ。怪物退治業さ」
「変態は先生に叱られて今は大人しくしてるし、それでガールズはちゃんと学校に行ってる。ツキコは俺が見てるし、弟くんは死者の領域から出られない。何も問題ないだろ」

礼典青年が転居してきた直後の、変態と人...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>蛇花町ガールズ - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/38848</link>
      <pubDate>Sat, 28 Feb 2026 13:01:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[お世辞にも治安が良いとは言えない蛇花町だが、こんな所にも学校は存在している。
礼典青年が蛇花町に転入したときはちょうど変態騒動の真っ最中のため休校しておりどの教室にも明かりは灯っていなかったが、先日変態の親玉が墓下へ葬られたことで治安が改善されて無事に学校も授業を再開していた……のだが、礼典青年が墓下の埋葬フレンズどもを解放したことでいまは再び休校状態に逆戻りしていた。

「……アンタのバードがまた学校サボって自警団ごっこを始めてる。なんか思う所はないのか」

今日も今日とて噴水広場で愛しの人魚を待っていた礼典青年の前に現れたのは埋葬フレンズの蜘蛛男。流石に服は着ているものの、ガスマスクに分厚い軍用コートといった出で立ちはそれはそれで怪しいもので、明らかに周囲から距離を取られているのを肌で感じながらも青年は事態の好転のきっかけを探っていた。

「元気があってよろしいっすねえ」

しかし、青...]]></content:encoded>
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      <title>変態 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/38076</link>
      <pubDate>Tue, 20 Jan 2026 13:56:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[礼典が奈落の底から帰還してからというものの、町には再び変態どもが姿を現していた。
それにより学校帰りの少女たちへのお声かけ案件、下着泥棒に盗撮、野外露出案件が急増し警察も大忙し……かと思いきや、変態どもは警察すら避けて通る相手。かつてのポリ公バードが懸念したように蛇花町の治安は悪化の一途をたどっていた。

「ライデンちゃんも気をつけなよ。案外カワイイお顔をしてるって蜘蛛のおっさんが言いふらしたから皆興味あるみたいだぜ」

やれやれと怪物退治屋の青年・慈が小さく肩を竦める。涼し気な雰囲気の男前である彼は変態どもから目の敵にされており、こうして事あるごとにせっせと嫌がらせをされているのだ。

「…………その情報で俺にたどりつけるヤツがいるのか？」
「わかんね」

透明なプラスチックのコップに映り込んだ自身の顔をまじまじ眺めながら礼典青年は首を傾げていた。
母親似であることは幼い頃からよく言われ...]]></content:encoded>
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      <title>怨霊 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/37563</link>
      <pubDate>Tue, 23 Dec 2025 20:12:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[礼典が墓の下から脱出したのをきっかけに、密かに設置されていた地上と地下を行き来するエレベーターの存在も公のものとなった。しかし、礼典の同居人である怪物退治屋・慈は自分の一族の墓にエレベーターが設置されていると知っても直接死者の世界へ降りることはなかった。

――別に、ここまでなら生きてる人が入ってきても大丈夫なんですけどね。

奈落の底へ続く深い縦穴の脇に設置された木組みの簡易エレベーターホール。そこを訪れた礼典の頭の中に少年の声が響く。
声の主は慈がずっと気にかけてきた弟・彗のものだ。既に幽霊となったその身体は礼典の目には見えないが、こうして声だけは頭に直接届けることで霊感の無い青年にも聞こえている。
だが少年の至って明るい口調に反して奈落の淵は酷く暗い。このエレベーターは住民が利用する目的で設置されていないことは明らかで、定期的にここを訪れる者は礼典くらいだった。

――それで今日はど...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>人魚 - 月まで届け、42回</title>
      <link>https://munyamunya.kashi-hondana.com/author/page/2223/section/36878</link>
      <pubDate>Sun, 26 Oct 2025 18:15:00 +0900</pubDate>
      <description>一目ぼれした人魚ちゃんに告白するため42回折りましょう。心を。</description>
      <content:encoded><![CDATA[ちゃぷ、と噴水に溜まった水を掬い、重ねた手を僅かにずらしてぱらぱら……と流す。

「…………」

今日の人魚・月子は気だるげに噴水の縁にしなだれかかって、ぱらぱら……ぱらぱら……と水を掬ってはこぼし、掬ってはこぼし、を延々繰り返していた。
今日の噴水広場には彼女ひとり。観光客の姿も餌の配給係を散歩させている犬も、先日月子に求愛した青年の姿もない。

たったひとりで水を掬って流すだけだ。そのため彼女が町の様子がいつもとおかしいことに気が付くにはずいぶんと時間を要した。

「……あら？」

ふと噴水に何かが映ったように見えて周囲を確かめてみると、小さなカニが海辺に向けて走っていくところだった。
山と海に挟まれた町のこと、海に近いエリアに海産物がお散歩しているのはそう珍しいことでもない。しかし、今日のカニは象牙の甲に覆われていた。

「なんだかへんなカニちゃん……」

気になって水を掬って流す遊...]]></content:encoded>
    </item>
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